狼たちの曠野

とりあえず、書きつづけてます。
三日間。
そろそろ続かなくなるか。

高千穂遙 著
狼たちの曠野
集英社文庫

奥付は昭和58年5月25日。
ハードカバーは56年ですな。

青い空とハイウェイとガソリンスタンドと神殿のある世界。
いや、それしかない世界。
神殿はホンダとヤマハとスズキとカワサキ
そこが人間にバイクを供給する。

その世界には村があり、そしてゾクと呼ばれる集団がある。
そのゾクの一つ、「アイアンホース」の若者、アキラは相棒のテッドと共に村の襲撃の鉄砲玉のトップを務める。
しかし、村の反撃、銃の暴発事故で襲撃は失敗。
記憶をなくしたアキラはすべての責任をテッドに押し付けられ、「ムレオクリ」にされる。
曠野をさまようなか、ロコフという名の足を悪くして村を追い出された男と出遭い、狂ったゾク「マッドパーティ」をつぶし、「ファイアボール」という名のゾクを作り上げる。
そして、ある日、一人の女が「ファイアボール」のシマに逃げ込んでくる。
名前はミーナ。かつて「アイアンホース」でアキラの恋人だった女。
ミーナは語る。「アイアンホース」の変容を。テッドがアタマとなった「アイアンホース」は近隣のゾクを吸収し、村を征服し、すべての支配者となろうとしている。
アキラは決意をし、周囲の村やゾクを説得して回るが、答えてくれたのは村のみ。
戦いに不慣れな村人4000人と「ファイアボール」200人。
対する「アイアンホース」は8000人のゾク。
戦いの前日、村長のレダクがアキラに対してする話。

「そうです。人間の尊厳。あなたを選んだのじゃない。(中略)――しかし、あなたが来て、その迷いは吹きとんだ。わたしたちは戦うことにした。何、いいじゃないですか、死んだって。わたしたちには、わたしたちの心を受け継ぐ子供も、その子供を産んでくれる女たちもいる。それよりも人間としての尊厳を失ったら、すべてがおしまいです。子供たちに、そんな精神は受け継がせたくはない。そう思ったとき、わたしはあなたを選択していたのです――」

そして戦いが始まります。
壮絶なまでの戦いが。

登場するバイクはみんな古いです。
いわゆる80年代バイクブームの前の時代のバイクです。
ですが、鉄とオイルの匂いと、ただひたすら走る男たちの姿。

表紙は生頼範義。すげえカッコいいのです。
ハードカバーは大友克弘だった気が(記憶が……(^_^;))

時代錯誤な戦う男とバイクが好きな方におすすめしておきます。

とりあえず、では。


狼たちの曠野 (集英社文庫)

狼たちの曠野 (集英社文庫)